※写真はイメージです(Getty Images)

 日本には様々な結婚のカタチが存在するが、「結婚生活=日常生活」はさらに多様化している。一方で、二人がどんな夫婦関係を営んでいるのかをリアルに探る調査は少ない。中央大学教授で家族社会学者の山田昌弘氏は、2023年2月に夫婦の家庭生活における「パートナーの親密関係の変容に関する実証研究(以下、「親密性調査」)」を実施。山田氏の新著『パラサイト難婚社会』(朝日新書)から、日本人の結婚生活の実態について、一部抜粋・再編集して紹介する。

【表】夫が気を付けるべき離婚しそうな妻の行動

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「フキハラ」をするのは夫か妻か

 様々な「愛」の形があるならば、多様な「結婚」の形があってしかるべきと考える人々がいる一方で、「結婚」に伴う「不幸」の様相も、日本では多様化しています。おそらくどんな時代でも「結婚(生活)」に対する不満や不幸、悲しみや怒りは存在したはずですが、それがネーミングされるほど事例が増えているのが、現在の日本社会の特徴です。

 結婚生活を送りながら不仲で没交渉状態であることを「家庭内別居」「家庭内離婚」と呼ぶようになったのは1990年代からでした。「DV(ドメスティックバイオレンス)」は、その名が付かない前近代でも存在しましたが、「働かない夫」や「ダメンズ」「家事育児をしない妻」などと共に、人生相談で取り上げられることが増えてきました。

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山田昌弘

山田昌弘

山田昌弘(やまだ・まさひろ) 1957年、東京生まれ。1981年、東京大学文学部卒。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。主な著書に、『近代家族のゆくえ』『家族のリストラクチュアリング』(ともに新曜社)、『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『新平等社会』『ここがおかしい日本の社会保障』(ともに文藝春秋)、『迷走する家族』(有斐閣)、『家族ペット』(文春文庫)、『少子社会日本』(岩波書店)、『「家族」難民』『底辺への競争』(朝日新聞出版)などがある。

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