ウミュードゥソラ福祉避難所でのひとコマ。輪島市が開設する福祉避難所は、2月10日時点で10カ所となった(写真/キャンナス災害支援チーム提供)

「これまでの震災現場とは違う支援の難しさがある」

 能登半島地震災害弱者への支援現場で、そんな声を聞いた。今回の震災は高齢被災者の比率が高い上、大勢の人が広域避難を余儀なくされている。下水道の完全復旧には年単位の時間がかかると言われ、要配慮者への支援も長期化している。

 試行錯誤が続く現場で、災害弱者はどう守られているのか——。

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輪島市内に「母子避難所」

 輪島市の年間出生数は76人(2022年)。全国815市区中で777位(同)だ。高齢化と同時に少子化も加速している。

 だからこそ、地元の人にとって子は宝。特筆すべきは、市内でただ一つ、妊産婦や乳幼児のための「母子避難所」が立ち上げられていたことだ。設置場所は、わじまミドリ保育園内。1月10日に開設され、同市福祉課によると、同月中旬には母子合わせて20人が利用していた。利用者が減った今も、支援は継続されている。

輪島市内に開設されたわじまミドリ保育園母子避難所(写真/同避難所提供)

 同市で福祉避難所支援の調整を担ってきた厚生労働省DMAT事務局災害医療課の上吉原良実さんは、道路事情が悪い奥能登では、妊産婦の搬送リスクが高まることも懸念して早期の開設につなげたと話す。

「もともと小児科と産婦人科の医療のアクセスがいい地域ではない上、夜間に、雪で通行止めになることもあります。実際、発災後には天候が安定せずに、搬送用のヘリが飛べなかったこともありました。特に発災してまもない急性期は、妊婦さんや赤ちゃんを抱えた人の居場所や状況を確認し、フォローすることは、とても重要でした」(上吉原さん)

 さらに、小児救急看護認定看護師でもある上吉原さんは、母子避難所が持つ別の側面にも触れた。

「災害時は、虐待やDV などのリスクも上がりやすいと言われていて、子どもたちが危機的な状況に陥りやすく、心配を抱えた家族に迅速に対応することも、母子避難所の大事な役割。いつでも母子が頼れる場所で、駆け込み寺的な機能もあります。輪島市の保育士さんが運営し、地元の小児科医や助産師さん、保健師さんが支援に入っていますから、ママたちが誰でも気軽に相談できるし、赤ちゃんをお風呂に入れるために利用することも可能です」(同)

 今回、同年代の子どもを持つ母親同士が子育てのことや被災後の生活について情報交換したり、気持ちを打ち明けあったりしていたという。

輪島市内に開設されたわじまミドリ保育園母子避難所(写真/同避難所提供)
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介護スタッフも被災し、福祉避難所が開設できない