AERA 2024年3月4日号より

 国内企業の導入事例を見てみよう。

 全日空は2021年度から、1カ月単位の休業もしくは年単位の休職を選択できる「サバティカル休暇制度」を導入している。「働き方やライフプランが多様化する中でより幅広いニーズに対応すべく、取得理由を問わない休職制度を導入した」(広報部)という。勤続年数1年以上の全社員(約1万2千人)が対象で、1カ月単位で取得でき、最長2年間まで休める。休職期間は無給だが、「休職中の諸活動をサポートする」ため休職1年あたり10万円の補助金を支給。1カ月単位の休業の場合、旅行や施設利用の際に使える共済会の「カフェテリアポイント」を月に1万円支給している。

学びを生かす

 利用状況はどうか。1年以上の休職は年間100人以上が取得。1カ月単位の休業は年間累計1千件ほど。留学、育児、介護に活用する社員が多いという。ビジネススクールのセミナー受講や、スタートアップ企業で経験を積み、復職後にキャリアを生かせる部署で勤務するケースも。9割超を客室乗務職の女性社員が占めるが、地上職にも広がりつつあるという。

 リクルートは国内7社を統合した21年に、長期有給休暇制度「STEP休暇」の位置付けを見直し、取得理由を問わず、勤続3年ごとに14〜28日の有給休暇を取得できる制度に統一した。この制度を利用し、ワインエキスパートの資格を取得したワークプレイス統括部社員が、休暇取得後に社員食堂の担当となり、イベントやメニューの提案に学びを生かしたケースもあるという。

 同社はほかにも、暦上の休日や有給休暇とは別に休日を取得する日を自分で選択できる「フレキシブル休日(年14日前後)」や、介護認定不要でペットも含めた家族のケアで取得可能な「ケア休暇(最大年5日/有給)」、妊娠中から子どもが12歳になるまで使用可能な「出産育児休暇(最大40日/有給)」、年次有給休暇を連続4日以上利用することで5万円が支給され、毎年取得可能な「アニバーサリー手当」など多様な休暇制度を整備している。STEP休暇はあくまで、それぞれのライフスタイルに応じて利用できる休暇制度の一つという位置づけだ。

休暇制度とキャリア

 一方、取得理由を限定した長期休暇制度もある。

 ソニーグループが15年度から導入している「フレキシブルキャリア休職制度」は、業務の専門性を深める私費就学のために利用でき、修学によって得られるスキルや資格が自社でのキャリア構築に資することが前提になる。勤続2年以上が対象で、休職期間は最長2年間。この間、給与や業績給は支給しないが、就学にかかる初期費用として最大50万円の実費と社会保険料を会社が負担する。同社は「性別・職種に偏りなく20〜40代の幅広い社員が取得しており、就学先も国内外の多岐にわたっています」と説明する。

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