監督を務めた平田うららさん
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 いわゆるカルトと呼ばれる宗教2世の苦悩を描いた映画「ゆるし」が3月に公開される。監督は大学時代に新興宗教にハマった経験をもつ22歳の平田うららさん。「なぜ宗教虐待が起きるのかを描きたかった」。映画制作を決意した背景には、入信後にできた、たったひとりの友人の自死と、宗教2世としての苦しみに気づけなかった“悔い”があった。

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 映画は、平田さん自らが演じる新興宗教2世の女子高生「すず」の現実を描いた。宗教上の制約で自由な学生生活を送ることができず、クラスで孤立し、いじめを受けるすず。

 母・恵は、あらゆる局面で、すずへの愛より「神」を優先させてしまう。神というフィルターを通してしか娘と向き合えない母と、母を愛そうとしつつも、自分自身をまっすぐに見てもらえずに苦しむ娘の姿は、宗教2世のありのままの姿を映し出している。

神様のおかげで奇跡が起きて治った

 現在は漫画編集者の仕事をしている平田さんが、とある新興宗教に入信したのは2020年、立教大学2年生の時だ。映像身体学を専攻し映画についても学んでいた。

 キリスト教に基づいた教育を行う中高一貫の私立女子校に通い、「神様」は近い存在ではあった。ただ、その学校はアルバイトが禁じられるなど校則が厳しく、ありがたいことではあったが、守られ過ぎた環境で育った。

 大学に入学後、活動的な同級生たちと「温室育ち」の自分とを比べてしまうようになり、コンプレックスを強く感じていたという。

 そんな気持ちを抱えつつ、就職活動に熱を入れた平田さんだが、不採用が続いた。

「社会に、お前はいらないって言われている気がして、不安がどんどん大きくなっていきました」

 そんな時に出会ったのが、ある大手企業の女性社員で、キリスト教系の新興宗教の信者であるZさんだった。打ちひしがれる平田さんを、優しく肯定してくれた。

 人として心から信頼するようになったという。

「就職の筆記試験の直前に手をケガしたんだけど、神様のおかげで奇跡が起きて治った。神様のおかげでこの会社に入れたんだよ」

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「隣人」ではなく「サタン」として区別した