こうして見てみると、チームで最高のOPSをマークしている選手が主に2番を務めているチームはNPBにはないことがよく分かる。チーム最高OPSをマークしている選手の中で10試合以上2番として起用されている選手も西川、近藤、外崎の3人だけ。大山、岡本、村上の3人は1試合も起用されていない。実際に2番で起用されている選手で、規定打席に到達してOPSが7割を超えた選手は1人もおらず、これを見ても日本では2番打者はまだまだバントなどの小技でチャンスを作る役割というのが一般的と言えそうだ。

 ただその中でわずかにメジャーに近い起用法を見せているのが巨人ではないだろうか。最も多く2番で起用された丸は昨年規定打席には到達できなかったものの7割を超えるOPSをマークしており、チーム3位となる18本塁打も放っている。またチームで2位となるOPS.884をマークした坂本勇人も2番打者として24試合に出場しており、ブリンソン、ウォーカー、秋広優人が2番で先発出場する試合もあった。チーム本塁打数164本は12球団でトップであり、ホームラン、長打を打てる選手が多いというチーム事情もあると思われるが、阿部慎之助新監督になった今シーズン、誰が2番を打つのかにも注目だ。

 巨人以外で実験的な2番打者の起用が見られるのがヤクルト中日だ。ヤクルトはなかなか2番を固定できなかったということもあるが、中軸を打つことが多いオスナが10試合、サンタナと山田哲人が5試合2番で起用されている。不振に陥った村上宗隆は4番から動かすことはなかったが、その前後に関しては頻繁に変化をつけていた印象だ。中日も岡林に次いで2番での先発が多かったのは大島洋平(39試合)だったが、若手の大砲候補であるブライト健太が10試合、鵜飼航丞も3試合2番で出場している。鵜飼は2022年も2番で9試合にスタメン起用されているが、若い選手の打席数を多く確保するための狙いもあったのではないだろうか。

 逆に徹底して2番を固定して戦ったのが日本一に輝いた阪神だ。中野は出塁率こそ高いものの、長打率は低く、バントも多いいわゆる“昔ながらの”2番打者である。1番を打つ近本光司が長打や盗塁を決めて1人で得点圏に進めることも多いこともあって、2番には無理に長打を求める必要がなかったという点もありそうだ。昨年12球団でも最も機能していたと言える1、2番コンビで今年もこのまま戦うのか、どこかで変化を求めるのか、岡田彰布監督の判断にも注目したい。

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