メジャー歴代最多の762本塁打の記録を持つバリー・ボンズ外野手(ジャイアンツなど)、通算7度のサイ・ヤング賞を誇るロジャー・クレメンス投手(レッドソックスなど)、通算696本塁打のアレックス・ロドリゲス内野手(ヤンキースなど)、同569本塁打のラファエル・パルメイロ一塁手(レンジャーズなど)らは“レジェンド級”の成績を残しながら、殿堂入りを達成することができていない。

 薬物疑惑とは無縁の選手でも「その成績で入れないの?」という選手も決して少なくない。

 まだ殿堂入りの可能性を残している選手では、タイトルこそないものの、歴代6位となる通算422セーブを誇る左腕のビリー・ワグナー(アストロズなど)がその筆頭だろう。

 ワグナーはセーブ数以外でも、通算750イニング以上を投げたピッチャーとしては奪三振率(11.9)と、1イニングあたりに何人の出塁を許したかを表す指標であるWHIP((0.998)は歴代トップの数字だ。2024年度の投票では得票率73.8%と殿堂入りまで5票足らず、来年は資格を得てから10年目となり最後のチャンスとなる。イチローとともに殿堂入りを果たせるかは1つの注目ポイントだろう。

 今年の投票では、NPBの楽天でもプレーしたアンドリュー・ジョーンズ外野手(ブレーブスなど)が資格7年目で61.6%の得票率で選出を逃している。19歳でメジャーデビューを果たし、その年のワールドシリーズで本塁打を放つなど、同シリーズの最年少記録を更新したジョーンズは、通算でも1933安打、434本塁打、1289打点、152盗塁をマーク。守っても10年連続でゴールデングラブ賞に輝いた実績があるが、残りの3年で殿堂入りできるかは微妙なところだ。

 他にも、フィリーズ黄金期の主力で通算1885安打、259本塁打のチェース・アトリー二塁手(1年目、28.8%)、ゴールデングラブ賞9度、通算353本塁打をマークしたツインズの名外野手トリー・ハンター(4年目、7.3%)、フィリーズなどで5ツールプレイヤーとして通算2470安打を放ったボビー・アブレイユ外野手(5年目、14.8%)も殿堂入りを逃している。

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現地メディアも指摘する「ハードルの高さ」