大阪公立大学病院 整形外科講師 高橋真治 医師 写真/上田泰世(写真映像部)

 医師もひとりの人。なぜ医の道を選び、どう修練を積み、今何を目指しているのか。人それぞれ経験や思いは異なる。しかし、時間に限りがある診療の現場では、医師の人となりや胸の内を詳しく聞くことは難しい。そこで週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2024』では、最前線で活躍する注目の外科医6人をインタビューした。本記事では首・腰の手術の注目外科医、大阪公立大学病院 整形外科講師 高橋真治 医師 を紹介する。

【図表】大阪公立大学病院・高橋真治医師の略歴はこちら

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 もともと医療分野に興味があったという高橋真治医師。明確に医師を志したきっかけは、高校生のときに交通事故に遭い脳挫傷で1カ月入院して医療の恩恵を受けたことだった。大阪市立大学(現・大阪公立大学)の医学部へ進み、晴れて整形外科医になった。

 「学生のころは外科系の救急分野に憧れていました。脊椎外科には首から腰まで多彩な手術があり、緊急性の高い手術をすることもあります。そうした点や手術と診断のむずかしさにもひかれ、整形外科のなかで脊椎分野を専門にすることにしました」

 その後は大学院へ。整形外科全般や脊椎分野を学びながらも、大学院で公衆衛生学に出合えたことが大きいと高橋医師は語る。

 「本学の公衆衛生学はワクチンの有効性や難病の疫学など幅広い研究を対象にしています。研究の適切な手法やデータ解析について勉強できたことは、私のその後の研究に大きな影響を与えてくれました」

 アメリカでの臨床や研究に強い関心がわき、2013年から1年間、University of California, Los Angeles(UCLA)でのフェローを経験した。

 「当時の日本では深夜まで働くことがよくありましたが、アメリカでは医師が早朝から仕事を開始して数多くの手術をし、効率的に業務をおこなっていて感銘を受けました。また、患者さんが医師に治療を任せるのではなく、自分の健康状態をよく把握していることも印象的でした」

海外諸国の医師たちと切磋琢磨する

 帰国後は、大阪市西成区にある病院で働いた。生活が苦しい人など、さまざまな人が足を運ぶ病院だったため、高橋医師は「いろいろな人の診察を通じて社会における医療の役割や問題点を認識しました」と話す。

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母校に戻り、国際交流を通じた学びに力を入れていく