しかし、ここで宇髄の攻撃の特性が生かされる。妓夫太郎は2つの血鎌を自在に操るが、宇髄もまた二刀流。さらに、彼は特殊な火薬玉を爆ぜさせることで広範囲を攻撃することが可能だ。妓夫太郎の「円斬旋回・飛び血鎌」をさばくためには、日本刀タイプの日輪刀よりも、宇髄のものが適していた。「音の呼吸」 肆ノ型 ・響斬無間(きょうざんむげん)も、伍ノ型・鳴弦奏々(めいげんそうそう)も、爆発をともなうスケールの大きな技で、爆ぜる火薬玉、日輪刀の残像が夜の暗闇に映えた。
戦闘終盤で、片腕を失った宇髄、負傷が激しい炭治郎たち。この時点で、宇髄独自の戦闘計算式「譜面」が完成し、妓夫太郎の技が把握された。
<「譜面」が完成した!!!勝ちに行くぞォオ!!!>(妓夫太郎/11巻・第93話「絶対あきらめない」)
譜面とは敵の攻撃動作を「音」に変換することで、相手の癖や死角もすべてわかるという宇髄だけが持つ能力だ。分析には時間がかかるが、一度譜面が完成すれば、飛躍的に戦闘が有利になる。実際、譜面がインプットされた宇髄は妓夫太郎の攻撃を完全に読み切り、次々と鋭い斬撃を加えていった。
宇髄と煉獄の「共通点」
これほどまでに強い宇髄が「弱い」とされるのには、他にも理由がある。これは煉獄も同じなのだが、選ばれし鬼殺の剣士である証の「アザ」が出ていないという点だ。アニメ10話目で、炭治郎にはその「アザ」が出現している。上弦の鬼をメインとする後半の戦いでは、この「アザ」が重要なポイントになる。
発動条件などの詳細は伏せるが、鬼舞辻無惨との戦いには、この「アザ」が浮き出ることが必須となる。では宇髄と煉獄にはなぜ「アザ」が出なかったのか。
鬼殺の剣士の「アザ」と宇髄
コミックスの15巻で、「アザ」について、こんな条件が添えられている。
<痣(アザ)の者が一人現れると 共鳴するように周りの者たちにも痣が現れる>(産屋敷あまね/15巻・第128話「御教示願う」)