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 スーパーやコンビニへの導入が進むセルフレジ。歓迎する人がいる一方で 店ごとに微妙に違うルールに戸惑ったり、客が労働を提供するにもかかわらず、有人レジと値段が同じことを疑問視する人も。あなたはどう考えますか? AERA 2024年2月26日号より。

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「並ばずに支払いが早くできて便利。導入はうれしいですね」

 愛知県に住む女性(60)がいつも買い物をするスーパーでは3カ月前、客が商品バーコードの読み取りから支払いまで自ら行う「セルフレジ」が導入された。

「レジが6列あって、二つがお金のやりとりも店員さんとする有人レジ。残りが支払いだけは客がやる『セミセルフレジ』。その傍らにセルフレジが六つ新設されました。私は必ずセルフレジを選びます」

 なぜか。女性には「早くて便利」以外にも理由がある。

「レジには近所の知り合いがパートで入っていることも多い。買った商品を見られたくない気持ちもあるので、セルフレジはありがたいです」

取り残される悲しさ

 人手不足の解消や業務の省力化を目的に導入が進むセルフレジ。2023年のスーパーマーケット年次統計調査によると、回答があった283社のうち、セルフレジを設置している店舗があると回答した企業は31.1%。年々増加傾向にある。

AERA 2024年2月26日号より

 またコンサルティング会社「MS&Consulting」が20代から50代を対象に昨年行った調査では、スーパーでふだん使うレジの形式について「セルフレジ」と答えた人が6割を超えた。

 作家で生活史研究家の阿古真理(あこまり)さん(55)も広がりを実感している一人だ。セルフレジが併設されているスーパーでは使うことも多いという。

「たしかに便利です。ただ、東京23区内の某大手スーパーの店舗が『セルフレジのみ』だったのには驚きました。高齢者も多い土地柄。困っている人も多いのではと心配になりました」

 東京都内で一人暮らしをする88歳の女性は最近、近所のスーパーに買い物に行くのが憂鬱(ゆううつ)になってきたという。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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