「なかよし」2月号の付録となって大評判を呼んだカード麻雀セット。麻雀が実際にプレイできる(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

 たばこの煙がもくもくした雀荘で、夜を徹して打つのが、昭和の麻雀のイメージ。賭け麻雀も珍しくなく、「給料全部、麻雀で負けて先輩に巻き上げられた」なんて話も、みんな笑って聞いていた時代もあった。

ゲームで覚えた世代

 何より4人揃わないとできないところが、麻雀のメリットであり、デメリット。メンバーが足りないと言われれば、いつでもどこへでも飛んでいかないといけないため、学校もバイトもおろそかに。当時の大学生をダメにする趣味、ナンバーワンは、間違いなく麻雀だったと思う。ところが。

「今の小中学生の親である30~40代は麻雀をゲームソフトで覚えて遊んできた世代なので、大人の娯楽として流行った昭和の麻雀を知らない人がほとんどなんですよね」

 そう話すのは、カルチャーセンターや市民講座、独自の麻雀教室など、全国で150以上の教室を展開する「ニューロン麻雀スクール」の代表理事、池谷雄一さんだ。現在ニューロンの会員は、「4歳から97歳まで」全国で約5万7千人。そのうち小中高校生は約2千人に上る。またコロナ禍が収束した最近は、増加傾向にあるという。

「少し前までは、麻雀をゲームとして楽しんでいる親が、子どもに勧めて入会するケースが多かった。ところが最近は逆転。子どもが自ら教室に通いたくて親に同伴してもらうケースが目立ってきました」

 これには麻雀卓をリアルで囲むのと近い感覚で、麻雀をオンラインで家に居ながらにしてできるようになったことも大きい。オンラインゲームなら、もくもくなし、賭けなし、頼まれての義理打ちなんかも、しなくてすむ。アガったときの派手な演出や効果音なども日々進化していて、臨場感も抜群だ。

「とはいえ、実際に自らの手で麻雀牌をツモって結果がわかった瞬間の感情の揺らぎや、対戦相手の表情やしぐさを観察しながらの緊張感のある駆け引きはやはり本物の卓を囲まないと味わえない。子どもがゲームで麻雀のおもしろさを覚えると、家族や友達、麻雀教室などでリアル麻雀を始めることが多いようですね」(池谷さん)

(ライター・福光恵)

AERA 2024年2月26日号より抜粋

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