鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】鈴木さんの最後のキャバ嬢写真

Q. 【vol.8】芸人への叶わぬ片思いから抜け出せないワタシ(20代女性/ハンドルネーム「Hon」)

 芸人さんに恋してしまいました……。その芸人さんとは全く接点がないどころか、結婚している方なので、100%可能性がないことはわかっています。ですが、劇場に行って出待ちをしたり、手紙やプレゼントを送ったり、その人のことを考えない日はありません。テレビにも出演して忙しい方なので、相手にしてもらえるなどとは思っていないのですが、劇場に行けば会えちゃうし認知してもらえそうなことを考えると、少し期待してしまう自分がいます。休日は劇場に行ってばかりいるため出会いもなく、プライベートの恋愛が疎かになっています。この沼から抜け出すにはどうしたらいいでしょうか。

A. 抜け出さないでよい沼もある。

 恋愛はこの世で最も大きな原動力の一つだと私は思っています。そして片思いほど楽しいものはないとも思っています。片思いの楽しさに比べれば、充実したやりがいのある仕事、とか、健康でマインドフルネスな生活、とか全然楽しくないですよね。思いっきり夢中になれる片思いの最中は、やめられなかった携帯ゲームも一晩中読んでいた漫画も平気で何日も放置できるのだから、恋の力は生きる力だと本当に思います。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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