それでも自分に合っていたようで、素直に受け入れてずっと実践しています。老いて自分も同じ立場になってからは、その言葉の重要性が理解できるようになりました。脳の記憶は時系列で行われているようで、日付があると時間の糸をたぐることができます。あることについて考えるとき、いまを基準にして「これは何年前」「こっちは何年前」とやっていくと、そのことに関する全体の流れのようなものをつかむことができるので、これにはかなり助けられています。

 書類に日付をつけるのが有効な理由を自分なりに考えてみました。私なりに考えた、頭の中に記憶ができるプロセスがベースになっています。

 最初は当然、なにもないまっさらの状態です。そこでなにかの動作を行うと、得られた結果も含めて、それらがまとめて記憶のタネとして保管されます。行動や結果がそれぞれ単体で保管されることもあるかもしれませんが、ばらばらのものは他との関係性がよくわからないので、保管しにくい上に引き出すのもたいへんです。保管しやすいのは関係性のわかっている、私流の言葉でいうと「シナリオのあるタネ」です。シナリオで結びつけられているので検索するのも比較的楽で、必要なときには芋づる式にまとめて引き出すことができます。

暮らしとモノ班 for promotion
節電×暖房どれがいい?電気代を安く抑えて温めるコツ
次のページ
いわば記憶を引き出すトリガー