磯谷祐維(いそや・ゆい)/2003年1月15日生まれ。21歳。岐阜県各務原市出身。山崎隆之八段門下。23年、女流2級。24年、YAMADA女流チャレンジ杯に優勝し女流初段に昇段。好きな食べ物はしいたけ(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 AERAの将棋連載「棋承転結」では、当代を代表する人気棋士らが月替わりで登場します。毎回一つのテーマについて語ってもらい、棋士たちの発想の秘密や思考法のヒントを探ります。34人目は、磯谷祐維女流初段です。AERA 2024年2月19日号に掲載したインタビューのテーマは「印象に残る対局」。

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 磯谷祐維は女流アマ名人戦で2回、女子アマ王位戦では3回も全国優勝を果たした。

「高校生の頃は、いまほど本気で将棋に取り組めてはいませんでした。女子のアマ大会で負けなくなったのは、2年前ぐらいからです」

 2022年。磯谷は女性代表として朝日アマ名人戦の全国大会に出場。2回勝ちベスト8に入ると朝日杯将棋オープン戦で男性棋士と指せる。

「アマとしての目標は女流の方ではない公式戦に出ることで、がんばっていたんですけど。1回戦は勝って、2回戦は大頓死で負けてしまって。悔しかったです(苦笑)」

 女性初の快挙まではわずかに及ばなかったが、磯谷が女性アマとしてはすでに傑出した存在なのは明らかだった。2023年2月、磯谷は関東研修会で試験を受け、3月にC1で入会。4月にB2に上がり、8月に規定対局数を満たし、9月に女流2級としてデビューした。磯谷の実力からすれば順当な歩みだ。もちろん目標はまだまだ先にある。

「タイトルを取らないと、女流棋士になった意味がなくなってしまうので」

 現在、女流棋士が所属する団体は、日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(LPSA)の二つがある。磯谷は人数が少ないLPSAを選び、その関係者やファンから大歓迎された。11月に開かれた記念祝賀パーティーで代表理事の中倉宏美女流二段はこう述べた。

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松本博文

松本博文

フリーの将棋ライター。東京大学将棋部OB。主な著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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