AERAの将棋連載「棋承転結」では、当代を代表する人気棋士らが月替わりで登場します。毎回一つのテーマについて語ってもらい、棋士たちの発想の秘密や思考法のヒントを探ります。34人目は、磯谷祐維女流初段です。AERA 2024年2月19日号に掲載したインタビューのテーマは「印象に残る対局」。
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磯谷祐維は女流アマ名人戦で2回、女子アマ王位戦では3回も全国優勝を果たした。
「高校生の頃は、いまほど本気で将棋に取り組めてはいませんでした。女子のアマ大会で負けなくなったのは、2年前ぐらいからです」
2022年。磯谷は女性代表として朝日アマ名人戦の全国大会に出場。2回勝ちベスト8に入ると朝日杯将棋オープン戦で男性棋士と指せる。
「アマとしての目標は女流の方ではない公式戦に出ることで、がんばっていたんですけど。1回戦は勝って、2回戦は大頓死で負けてしまって。悔しかったです(苦笑)」
女性初の快挙まではわずかに及ばなかったが、磯谷が女性アマとしてはすでに傑出した存在なのは明らかだった。2023年2月、磯谷は関東研修会で試験を受け、3月にC1で入会。4月にB2に上がり、8月に規定対局数を満たし、9月に女流2級としてデビューした。磯谷の実力からすれば順当な歩みだ。もちろん目標はまだまだ先にある。
「タイトルを取らないと、女流棋士になった意味がなくなってしまうので」
現在、女流棋士が所属する団体は、日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(LPSA)の二つがある。磯谷は人数が少ないLPSAを選び、その関係者やファンから大歓迎された。11月に開かれた記念祝賀パーティーで代表理事の中倉宏美女流二段はこう述べた。