漫画家が命を守るためにできること

 きたがわさんは、取材の最後、こんなことを口にしていた。

「僕は今回の事件を受けて、出版社やテレビ局にもいろいろと思うことがあるんですけど、誰かを責めるような言い方は絶対したくないんですね。それは、芦原さんも望んでいないでしょうから。一方で、芦原さんがSNS上の言葉の暴力に心を痛めていたであろうことを考えると、漫画家が命を守るためにできる自衛策は、SNSとの距離感に気をつけることだと思います」

 これ以上の悲劇を生み出さないために、創作の世界に携わる一人ひとりが、これから何ができるのかを考え続けている。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

◆「日本いのちの電話」相談窓口
厚生労働省は悩みを抱えている人に対して相談窓口の利用を呼びかけている。
ナビダイヤル 0570・783・556(午前10・00~午後10・00)
フリーダイヤル 0120・783・556(毎日:午後4・00~9・00、毎月10日:午前8・00~翌日午前8・00)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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