この依頼者のように、身内同士だけだと衝突してしまいがちである。そんなとき、第三者である業者を間に入れることで、説得が円滑に進むこともある。ユウキさんが続ける。
「ちょっと冷たい言い方になるかもしれませんが、“これ思い出あるのよ”って言われても正直僕らにはわからない。そのモノに思い入れはないので。だからこそ、冷静に判断できるっていうのはあるはずです。そうやって捨てていく中で、スピードに乗ってきて、“もうガンガン捨ててください”って考えが変わる人も結構いるんです」
信定さんが話した「ひとつひとつ確認すること」を忘れずに、「それ、本当にいる?」とハッキリ聞いてあげることが大切かもしれない。
物置にあるものは基本的にいらないモノ
この家もそうだったが、物置という場所は基本的にいらないモノの集合体だ。また、物置に限らずそもそも収納スペース自体が不用品だらけになりがちだ。
「片付けが苦手な人の場合、収納スペースはいらないモノをいったん押し込んでおくだけの場所になってしまうんです。だから、何が入っているかもわからなくなるし、そうなると片付けたいと思っても手が付けられない。逆に、自分がいま何を持っているのか把握できていれば、収納スペースを有効活用できるんだと思います」(信定さん)
片付けが苦手だからこそ収納スペースの多い物件を選んでしまいそうだが、それはいい結果を生まないかもしれない。
倉庫となっていた2部屋と物置はものの4時間で空っぽになった。依頼者の女性も安堵した様子の声で感謝していた。
「何年かぶりなんですよ、窓開けるのも。いやぁ、よかったです、本当にすっきりしました。ありがとうございます」
現在はきれいになった7LDKの家で一人、新生活を満喫している。
(國友 公司 : ルポライター )