今回の件で、さまざまな方の発信を追いかけてみたが、元衆議院議員の井戸まさえさんの「上川外相の対応を『残念』というのは簡単だ」というSNSの発信に、私は共感した。女性政治家が求められる「女性らしさ」「若さ」「美」の基準を定めるのは男性たちである。そういう男性たちが「女性候補者」を選んできた事実が厳然とある。そういう組織の中で、「私は他の女とは違う」「私は男性には媚びないでここまできた」と言い切ることができる女性など、どれだけいるだろうかと考えさせられた。公衆の面前で年齢と容姿を侮辱された女の対応を批判する資格など、私たちにあるのだろうか。

 もちろん、上川さんは大臣である。総理大臣へのレールが敷かれていると囁かれている女性でもある。「女のために、ちゃんと言うべきことを言ってよ!」という思いは私にもあるが、それよりもやはりここは、上川さんのような立場の女性ですら「あのような目」にあう日本社会のひどさを自覚すべきだろう。上川さんが奇しくも私たちに見せたように、上にいった女性であっても、男性を刺激するのは難しい。でも、その恐怖に縛られ続けて生きていくのは、あまりにもつらい。だからこそ、麻生さんのような発言を二度と許さない空気を、「自民党のこと」としてではなく、自分ごととして、女も男も築いていかなくてはいけないのだろう。

ああ、本当に、女でいるって、余計な仕事が多すぎる。邪魔が入りすぎるのだ。だからこそ、今回は上川さんに私は#MeTooしたい(上川さんの政治的信条とは別に)。そして麻生さんの発言を許さない。

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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