もちろんこれは政治団体だけでなく、民間企業でも同じようなものだろう。おかしいことをおかしいと言い、後続の女性のためを考えてトップの男性にガンガン正論を言う「不美人のおばちゃん」が出世したケースなど、2024年の時点で何件あリますか? そういう女性、本当にいますか? もしそういう社会だったら、日本のジェンダーギャップ指数、こんなに低くないのではないでしょうか。

 上川さんの対応を批判したのは女性だけでなく、リベラルな言論人の男性にも多かった。ラサール石井さんは「怒れよ、これぐらい」と上川さんを批判していたが、「これぐらい」と言えるくらいの感覚が男性の限界なのだと思う。女性にとってこれは、「これぐらい」の軽さではない。容姿や年齢のことで、どれだけ女が時間と心をすり減らされてきているのか。尊厳そのものを傷つけられる暴力であるのに、「これぐらい対処しろ」とか「これぐらい笑い流せ」とか「これぐらい怒れよ、プライドないのか?」とか理不尽に責め立てられる経験の繰り返しが、女の職業人生である。美人であろうが、美人でなかろうが、年を取っていようがいまいが、背後にも頭上にも「配慮センサー」を感知させながら、私たちは慎重に仕事をしている。そうやって慎重に慎重に仕事をしていたとしてもハシゴを外される瞬間など、いくらでもある。美人だろうが、外される。若かろうが、外される。年を取っていても、不美人でも、女であるという理由で、ハシゴは外される。男社会のなかでマイノリティーである女は正論だけでは仕事ができない。性差別の弊害である。

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