天皇や皇族方の胸の内はご本人にしか分からず、推測するしかないと前置きをしたうえで、所さんはこう話す。
「愛子さまは『敬宮』という宮号をお持ちの唯一の皇女。皇室の中でも、本家にあたる内廷のご身位は、分家にあたる宮家より重いからです。だから何より、ご両親を支える心構えを持っておられる。将来は結婚なさってもお考えは同じでしょう。成年にあたってのお言葉からも、一種の使命感や覚悟を明確にお持ちだと感じます」
配慮はあったのか?
皇室のメンバーは、男女を問わず「公」のために存在する、と所さんは考える。「国家・国民統合」の支えになると考えれば、大学院や留学も高度広域な公務に備えての学びになる。
一方で女性皇族の留学は、2017年から9カ月ほど英リーズ大学へ留学した佳子さまが最後だ。この6年の間にコロナ禍も起こり、皇室では「高齢化」と公務の担い手の減少がより進むなど皇族を取り巻く状況は大きく変わった。
愛子さまが就職と公務の両立を選択したのは、そうした状況への配慮があったのか。
「皇室が人手不足だからという理由で進学や留学を断念されたのではない」だろう、と所さんは言う。
愛子さまは、日赤には早くから関心を持っていた。ますます厳しくなる社会の状況をその目で見て、皇女として内廷皇族として、どの道を選択するのがよいのかを、ご自身で考えたのではないか、とみている。
「愛子さまが公務で活躍できる環境について、今度こそまっとうな議論がなされてくれればいい。継承問題に影響するという漠然とした理由だけで、愛子さまをタブー視している状況ではないでしょう」
と、前出の人物は指摘する。
これから社会の表舞台に出ることで、愛子さまに向けられた世間の期待は、ますます強くなりそうだ。
(AERA dot.編集部・永井貴子)