天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが、大学院への進学や留学をせずに日本赤十字社への就職を選択したことは、世間に驚きをもって受け止められた。その一方で昨年11月から、安定的な皇位継承のために皇族の数を確保する具体策に向けた議論を、自民党が始めた。これから愛子さま、そして皇室を取り巻く環境は変わっていくのだろうか。
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「皇室典範等の法改正の必要も考えねばならない」
昨年11月、自民党本部で開かれた「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」の初会合で、会長を務める麻生太郎・自民党副総裁が、そう口を開いた。麻生氏といえば、寛仁親王妃である信子さまの兄であり、政治と皇室のパイプ役でもある。
党の総裁である岸田文雄首相の主導で立ち上げられた自民党のこの組織は、政府有識者会議が2021年末にまとめた報告書をたたき台に、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持して皇室にとどまることや、旧宮家の男系男子を養子にして皇族とすることを可能にする皇室典範改正も視野に、議論を重ねていくことにしている。
女性皇族が結婚後も皇室にとどまる案について、まず対象になると考えられるのは、天皇、皇后両陛下の長女愛子さまと、皇嗣家である秋篠宮家の次女佳子さまといった内親王だ。
愛子さま自身も20歳の成年を迎えた感想のなかで、
「成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたい」
と、ご両親を支える気持ちを言葉にしている。
「タブー」だった愛子さま
しかし、自民党の動きに対して、前回の有識者会議におけるヒアリングメンバーのひとりは、複雑な心境をのぞかせる。
「これまでは有識者会議において、愛子さまについて話題にするのは『タブー』に近い雰囲気がありました。それが本当に変わるのだろうか」