今年の箱根駅伝で総合優勝し、「1番」のポーズをとる青山学院大の原晋監督
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 ハラスメントに厳しい目が注がれ、スポーツの世界でも叱るのは難しくなった。そのなかで実績を上げる指導者たちは、選手たちをどう導いているのだろうか。AERA 2024年2月12日号より。

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箱根駅伝を前に、監督である自分が楽しんでないと選手たちの士気にも影響が出ると思います。監督が不安な顔してたら、選手たちも楽しめないでしょ? レース中の声掛けも、私自身が楽しんでいれば、ポジティブな言葉が出てくるわけですよ」

 これは、今年の箱根駅伝で7度目の総合優勝を達成した青山学院大学の原晋監督の言葉だ。

「いい意味でチャラい」と青学大の選手たちを表現する原監督だが、指導者としては厳しい。寮則は関東の学校のなかでも1、2を争うほど厳格だ。たとえば、当番で回ってくる掃除を終えても、ホワイトボードに「掃除済」と書き込まないと、部員の前で反省をする羽目に陥る。門限は絶対で、外泊は許されない(曜日や事前届け出によって許可されている学校も少なくない)。

 監督就任当初は功を焦り、タイムを優先して選手を勧誘したところ、風紀を乱す選手がいた。「叱ってばかり。それは学生が信頼できなかったから」と振り返る。その反省から「青学にふさわしい自己表現力豊かな選手に声を掛けよう」と方針を転換してから、学生と一緒に楽しむ姿勢を前面に押し出してきた。

笑顔になれる声掛け

「たとえば、後ろとの差が詰まってきたら、どんな声掛けが正解なのか。『後ろ、迫ってきてる!』と言ったところで、どうにもならないよね(笑)。だって、選手も追いつかれたくて走ってるわけじゃないから。それだったら、選手がノリノリになる言葉をかけた方がいい」

 今年の箱根駅伝での原監督のヒットは、2区を走った黒田朝日への声掛け。「戸塚の坂に朝日が昇る!」。黒田本人が「思わず、笑顔になりました」と認めるほど効果的な言葉だった。

 駒澤大学の大八木弘明総監督の声掛けも印象的だ。2023年の総合優勝を最後に勇退して総監督になったが、区間終盤で選手が苦しくなってきたところで飛び出す「男だろ!」という掛け声は箱根駅伝の名物だった。

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