多くの不調や病気を招く自律神経の乱れ。その要因として、ストレスや睡眠不足がよく挙げられるが、実は加齢も大きく関わっている。毎日を楽しく生きるためには、いかに自律神経を若くキープするかがカギを握る。自律神経の老化を防ぐにはどうすればいいのか。自律神経研究の第一人者である小林弘幸医師の新著『老後をやめる 自律神経を整えて生涯現役』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。
* * *
食事、睡眠、運動……一番大切なのはどれ?
自律神経の老化を防いで、若々しくいるためには、食事・睡眠・運動の3点が重要になります。
当たり前のことだと思う人もいるかもしれませんが、では、この3つのうちどれがいちばん重要か、答えることはできますか?
答えは「運動」です。なぜなら、「動かない」は「食べられない」「眠れない」に直結するからです。
とくに定年を迎えると、運動量がガクッと減ります。意識して動くようにしないと、「今日も一日、一歩も外に出なかった」なんて毎日を送ることになりかねません。
動かなくなると、どんなことが起こるでしょうか?
まず、お腹がすかなくなります。
ただでさえ年をとると基礎代謝が落ちるので、必要とするカロリーは少なくなります。そのうえ動かなかったら、体が食事を必要としなくなるのは当然です。
年をとっていても、体を動かしている人はたいていよく食べるものです。冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎さんはお肉が大好きで、1~2週間に一度は600~800グラムのステーキを食べるそうです。