日本代表・森保一監督

 絶賛開催中のアジア杯(開催国はカタール)。森保一監督率いる日本代表は、1月31日のラウンド16・バーレーン戦で3対1の勝利を収め、9大会連続のベスト8入りを果たした。だが、昨年6月から日本代表史上最長となる国際Aマッチ9連勝を計39得点という爆発的な攻撃力で飾り、「史上最強」との触れ込みでカタールに乗り込んだチームとしては、想像以上の「苦戦」が続いた。

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 グループリーグ初戦、かつて日本代表でも監督を務めたフィリップ・トルシエ氏が率いるベトナム相手に最終的には4-2で勝利したものの、一時は1-2とリードを許す展開を強いられると、続く第2戦のイラク戦では、FWアイメン・フセインの予想以上の“強さ”に屈して1-2で敗戦。プラン通りの試合運びを見せたイラクを前に「負けるべくして負けた」と言える敗戦だった。第3戦のインドネシアには3-1で勝利したが、攻撃にスムーズさを欠く場面も多く、試合終了間にロングスローから失点し、後味の悪さを残した。FIFAランク(最新の2023年12月21日時点)で見ると、17位の日本に対して、ベトナムが94位、イラクが63位、インドネシアが146位だったが、いずれの試合もそれほどの差は感じなかった。

 この「苦戦」の理由は1つではないだろう。まずは日本の問題がある。各選手たちのコンディション、調子も異なる状況で、森保監督も手探りのスタート。そこに国際Aマッチ9連勝の自信が混ざった。決して油断ではなかっただろうが、選手一人一人のボールへの寄せが半歩甘くなり、思考が1秒遅くなるだけで、その積み重ねがピッチ上では大きな“隙”となった。ただこれはW杯で優勝した国々にも言えること。長丁場の大会を最初から最後まで100%で戦い抜くことは困難であり、グループステージではその大会のベスト布陣を探りながらチーム状態を整え、決勝トーナメントから調子を上げていくのは常套手段。優勝を狙うからこその“苦しみ”でもある。

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苦戦の理由は他国からの“リスペクト”?