就職活動の長期化・早期化が問題視されている。今後、この傾向は加速する可能性もあるという。大学は今“就職予備校”の側面が強くなっている。AERA 2024年2月5日号より。
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時代とともに変わりつつある就活事情だが、長年、問題視され変わらないのが就活の長期化、早期化だ。今や大学1、2年次から、セミナーやイベントを実施してキャリア形成を学生に意識づける大学もある。こうした流れはこの先も変わらず、さらに加速する可能性もあると教育ジャーナリストの神戸悟さんは指摘する。
「文部科学省は大学設置基準を改正して、2011年度から大学に対して『社会的・職業的自立に関する指導等』を教育の一環として実施するよう義務づけています。大学側からすれば、学生の学業と就活の両立などデメリットはあるものの、キャリア形成教育を国から指示されているという大義名分がある。就活の長期化を大学側も進んで行っているという側面があり、少子化が進む中で企業は青田買いに躍起になっている今、この流れは変わらないでしょう」
就職情報サービスを提供する学情の調査によれば、昨年4月の時点で24年3月卒業(修了)予定の学生の25.8%が「内定(内々定)を獲得し、就活を終了した」と回答していた。
大学側はひそかに頭を抱える。都内の難関私立大学のキャリアセンターの担当者は、もどかしげにこう言う。
「本学でも昨年度から3年生の就職活動イベントを前倒しするなど早期化を意識していますし、早期選考で内定を得ている3年生が出てきています。ただ、就活に熱心なのはいいことですが、学業との両立に対する懸念はありますし、一方で学生の要望に応える支援はしていかないといけないという自己矛盾も大学は抱えているんです。今のやり方が尋常な状況かといわれると首を傾げざるを得ないし、積極的に奨励はしたくないというのが正直なところです」