エッセイスト 小島慶子

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 若い世代とのLINEで文末に「。」をつけると、怒っていると受け取られるので注意!……という記事を読みました。句点によって「会話を続けたくない」という印象を与えてしまうのだと。かなり読まれたようなので、中には「時代遅れにならないよう、今度から句点をつけないようにしなくては」と思った人もいるのかもしれません。部下に誤解されないようにと。

 私は51歳なので、アルゴリズムのおすすめで時々「これがLINEのおばさん・おじさん文体!」などという見出しの記事が表示されます。中年世代は大きなコミュニケーション不安を抱えているのですね。年齢が違っても身内や友人ならさほど気にならないでしょうが、仕事関係などで若い世代とのやり取りが多い人は「。」一つでハラスメントになってしまうかも、と心配になるでしょう。かといって少しでも印象を和らげようと絵文字を多用すると気持ち悪がられてしまうし、などと悩みは尽きなそうです。

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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