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人は結局、欠損しているものを埋めるために行動するのかもしれない。そんなことを感じた。幸せな家庭で育ったスズ子だが、本当の子どもでないと知ってから「家族」のピースが心で欠けたままだった。だからこそ、愛助と自分と子どもという3枚のピースで家族を作る。そういう思いがスズ子を突き動かしている。
結局、大阪に行ったのはスズ子でなく山下だった。トミは開口一番、「愛助のことやったら何も話すことないで。あの女子(おなご)とはしまいや」。山下も食い下がる。愛助はもう大人だ、福来スズ子を失うのは日本の損失だと土下座までしたが、トミは揺るがない。誰がなんと言おうと許さないと言い、締めの台詞はこれ。「これは家族をどう考えるかの問題や。村山は家族や。家族は同じ方向を向いて頑張らな、あかんのや」。
と、ここで突然、違う話。この台詞を聞いて、選択的夫婦別姓に反対する人たちを思った。夫婦の名字が違うと、家族の一体感が損なわれる。そう反対する人がいて、まるで理解できないでいた。が、トミの台詞で、ちょっとだけ彼らの発想がわかった気がした。そしてもう一つ、気づいたこと。トミは、言いながら苦しそうだった。そしてこう思った。トミさん、苦しいですね、この理屈が愛助を幸福にしないこと、わかっているんですね。事実婚歴33年、歴史を誇る私なのだった。
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