2022年6月に膵臓がんの診断を受け、余命半年と宣告された映画宣伝プロデューサーの叶井俊太郎さん(56)。その後がんはステージ4に進行するが、叶井さんは24年に入っても映画の仕事を続け、25年4月まで予定が埋まっているという。
【写真】叶井さんが宣伝を担当、「登場人物が下半身丸出し」の「唐獅子仮面」って?
「下半身出てるから、宣伝が難しい」
叶井さんが現在宣伝を手がけている映画は、1月26日に公開された「唐獅子仮面 LION-GIRL」。漫画家の永井豪さんがキャラクターデザインを行い、全編アメリカロケでハリウッドを中心に活躍するスタッフ、キャストをそろえた大作だ。近未来が舞台で、主人公のヒロインが「スーパーハイレグ・パワー」を武器にハードなアクションを繰り広げる永井ワールド全開の作品。「登場人物が下半身丸出し」(叶井さん)といい、「全世界の映画祭が悶絶! 絶句! 上映禁止!」というキャッチコピーがついている。
「チャレンジどころじゃないね、いいのか、これっていう。下半身出てるから、宣伝が難しい。映画は面白いから、引き受けたけどね」
24歳で映画業界入りして以来ずっと海外の映画買い付けや宣伝を手がけ、日本映画のプロデュースにも携わる。海外映画では叶井さんの名を広めた「八仙飯店之人肉饅頭」(日本公開は1994年)や「ネクロマンティック」(同95年)、「キラーコンドーム」(同99年)を始め、「ムカデ人間」3部作(同2011、12、15年)や2023年にスマッシュヒットとなった「キラーカブトガニ」まで、企画・プロデュースでは河崎実監督と組んだ「いかレスラー」(04年)「日本以外全部沈没」(06年)など、ホラー、スプラッター、グロテスク、コメディー、バカ映画、ジャンルを問わず「普通なら世に出ない」映画を大量に世に送り出してきた。
ホラー映画と間違って買い付けた「アメリ」(同01年)などのヒットをとばすこともあれば、とんでもない失敗作も。自身が立ち上げた配給会社の倒産も経験している。
「本物の幽霊が出てくる」映画
3度離婚し4度結婚、末期がんを患ってからも仕事のペースも、内容も変えない。
最近手がけた作品で手応えがあったのは、プロデュースした「三茶のポルターガイスト」(23年)。「心霊現象が出る」という噂のあった東京・三軒茶屋のあるスタジオを舞台にしたドキュメンタリー映画だ。
「これはすごいですよ、本物の幽霊が出てきますから。テレビからも問い合わせがあって、本物が出てくると説明したら、『テレビでは本物の映像は出せない』といって映像使用を断られたんですよ。そこそこヒットして、これから否定派の学者に検証してもらうパート2をつくります。撮れた映像が多すぎるから、どれを入れるかいま検討しています」