近年、メディアで「限界ニュータウン」という表現を見かける機会が多くなってきた。その言葉に明確な定義はないが、今後ますます人口が減少していく中、全国各地の「ニュータウン」が大きな曲がり角に差し掛かっている。さらに市街地から遠く離れた超郊外の分譲地を主に「限界分譲地」と呼称し、千葉県北東部に散在する旧分譲地の探索ブログやYouTubeチャンネルを運営している吉川祐介氏は、昭和の時代に投機目的で開発されたそれらの土地にまつわる諸問題を解説する。同氏の新著『限界分譲地 繰り返される野放図な商法と開発秘話』(朝日新聞出版)から一部を抜粋、再編集して紹介する。
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限界ニュータウンはどういうもので、どこにあるか
僕が定義している「限界ニュータウン」「限界分譲地」とは、僅かにしか家屋が建てられておらず、今なお多数の区画が更地のまま残されているような住宅分譲地のことである。
しかし、「限界ニュータウン」と一言で言っても、これは都市問題の用語として正式に採用されているものではないため、その定義にはどうしても個人の主観が混じってしまうのだが、僕が定義している「限界ニュータウン」「限界分譲地」の多くは、いわゆる「郊外エリア」のさらに外縁部、都市近郊型の農業地帯の中に虫食い状に点在している。
限界ニュータウンの語源となった「限界集落」は、基本的には都市部から遠く離れた山村の小集落であることが多いため、限界ニュータウンも同様の立地のものと思われてしまうことがある(実際、山間部に開発された住宅地を指していることも多い)。「限界」という語句と、物理的な距離やアクセスの難易度がイメージとして結びつきやすいのだと思う。