千葉県は農村部も含め県内全域において都市部と同様の不動産市場が形成されており、物件の供給も続いている。よほど朽ち果てた物件でもない限り、中古住宅の処分に困るようなエリアはまず存在しないと言っていい。その市場において、数多くの分譲地の更地の荒廃や所有権の散逸が続いている。

 つまり、見方を変えれば、かつての炭鉱町や開拓集落のようなへき地ではなく、今や都市の外縁部でも居住環境の衰退・荒廃が顕著になりつつあるともいえる。

問題は立地より開発経緯

「限界ニュータウン」「限界分譲地」と化してしまったかつての分譲地は、山村にあるか農村にあるか、それとも都市の近郊かというような立地の問題というよりは、むしろその開発用地として選定された自治体、あるいは地域が、その当時にどのような開発規制が掛けられていたかに左右される面が大きい。

 宅地開発を行う上での主要な規制法である都市計画法の制定は1968年で、これはちょうど本格的な開発ブームが巻き起こるタイミングと同時期になるが、この「都市計画法」に定められた規制が適用されるのは、原則として「都市計画区域」として指定されている自治体・地域を想定している。

 ところが現在の「限界ニュータウン」「限界分譲地」は、その当時、都市計画区域に指定されていないエリアが大半であった(都市計画区域外)。都市計画区域に含まれていたとしても、非線引き自治体(「市街化区域」と「市街化調整区域」の区分けが行われていない自治体のこと)で、都市部と比較して開発にかかわる規制が緩い。

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なぜ盛んに分譲されたのか