「今はスペイン語を勉強中。話すことと聞くことはどの言語でもつながっています」と廣津留さん(撮影/吉松伸太郎)

 語彙力については、地道に単語を覚えていくことに尽きます。たとえ発音がよくても、語彙力がないとすぐに言葉が出てきません。自分のレベルに合った英単語帳を買って「1日50個覚える」などタスクを決めて、それを何周も繰り返してみてください。私もずっと時間を決めてやってきました。ここでも「英語→日本語」の順でひたすら唱えて、耳からサウンドをインプットすることが大切です。

 質問者の方は、ご自身の「英語の発音の悪さと語彙力のなさに愕然としている」とのことですが、きっと自分で気にしているほど悪くはないと思います。自信を失ってしまうのはもったいないので、言葉が通じなかったときはジェスチャーでもいいから、何とかコミュニケーションをしようという意気込みでトライしてみてください。

 日本人は、英語で話すことを恥ずかしがる人が多いように感じます。そんなときは、日本語を話すときの自分とは全く違う、別人格になりきってみるのがおすすめです。好きな映画があれば、そこに出てくる人物になったと思うといいですよ。例えば自分を映画「プラダを着た悪魔」の主人公のアン・ハサウェイだと思って!(笑)。彼女のように英語をペラペラとしゃべって人と会話している自分を想像してください。別人格と思えば恥ずかしさも半減しますし、最初はイメージしていただけのことが、続けていくうちにリアルに近づいていくので、イメトレって大事だと思います。

Q. 英語のニュースが聞き取れないのは話す速度と関係していますか? どんな英語放送から聞き始めるとよいでしょうか? リスニング力アップの方法を教えてください。

A. ニュースキャスターが話す速度はもちろん関係してくると思います。日本語でも高速ラップは一回では聞き取れないことがありますよね。

 本場の英語のニュースを聞くのはとてもいいと思います。簡単すぎない、生きた英語なので。CNNなどの映像ニュースは、見出しがついているのでどんな内容なのかが一目瞭然ですし、YouTubeやテレビ放送であれば英語字幕も出せるので、聞き取りをしながら答え合わせもできちゃいます。

 私はスペイン語を勉強中ですが、単語どうしがつながったときの音が聞き取りにくいなと感じます。英語にも同じように、単語と単語の隣り合う音が結合されたり、片方の音が脱落したりして音が変化する「リエゾン(連音)」があります。例えば、“Nice to meet you.”の“meet you”を「ミートユー」とは言わずに、「ミーチュー」と発音するのもその一つです。

 英単語をカタカナで認識していると、つながった音が聞き取れないし話せないですよね。カタカナ英語を忘れるためにも、英語の音のつながりのパターンを理解したうえで、耳から聞こえたサウンドをそのままマネして練習すると良いと思います。そうすれば、次に英語を耳にしたときに「これはリエゾンだ!」とわかり、音と文章が結びつく瞬間があるはずです。

 どんな言語でも話すことと聞くことはつながっているので、英語もリスニング力を上げるにはシャドーイングや音読をして、音に慣れることが有効だと思います。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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