学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、英語のスピーキング力とリスニング力に伸び悩むミドル世代からの質問に答えてもらった。

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Q. 海外で生活しています。ママ友との会話には困りませんが、求職となると自分の英語の発音の悪さと語彙力のなさに愕然とします。ビジネスレベルの英語が話せるようになるにはどうすればいいですか?

A. 英語を流暢に、発音よく話せるようになるには、まずは耳を鍛えることが大事だと思います。耳が英語に慣れている人のほうが圧倒的に発音がいいんですよね。私の友人で発音がいい人は、昔からアメリカ映画が大好きで映画を通して本場の英語をたくさん耳にしていたそうですし、シンガー・ソングライターの藤井風さんもすごく発音がいいなと思いますが、小さい頃から英語を聞いて耳コピをしてきたという記事を読んだことがあります。私の場合は、子どもの頃に英語の絵本の「なぞり読み」をしていました。母の音読やCDの音声を聞きながら文字を指でなぞって声に出して読むんです。自分では遊び感覚でやっていましたが、3歳くらいになると絵本を母に読み聞かせするようになっていました。

 発音については、たとえば「Meeting」と聞いたときに日本語で読んでいませんか? 頭でいったん「ミーティングって言ったな」と思ってからと読むのと、耳から聞いた音をそのまま発音するのとは違います。たとえば、アメリカ英語で「Meeting」の”ti”は厳密には「ティ」とは言っておらず「リ」に近いサウンドです。カタカナと認識してしまうと英語らしい発音にならないんです。英語の「音」を聞き取ることが、正しく発音するコツです。リアルな英語を聞く機会を増やすことが大事で、好きな海外ドラマや英語のラジオ番組などを流しっぱなしにして、頭の中に残っているカタカナ英語を全部取り除いてしまいましょう。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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