神経鞘腫:進行すると耳鳴りや顔のしびれの症状が出る

 神経鞘腫は、8割程度が聴神経から生じる聴神経鞘腫で、大きくなると耳鳴りやめまい、聴力の低下といった症状が出たり、顔面の神経に影響を及ぼしたりします。治療には手術と多方向から腫瘍に集中的に照射する定位放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフなど)があります。

 治療の選択について武笠医師はこう話します。

「聴力、腫瘍のサイズ、年齢、患者さんの希望といったことが、選択の決め手となります。高齢の人は手術の負担を考えて、放射線治療を選択する傾向があります。放射線治療は治療後に腫瘍が増大することもあり、長期的な成績がわかっていないため、若い世代の人にはすすめにくい治療です」

 脳腫瘍は生活習慣病とは異なり、現状では予防できません。MRI検査を受けた際に偶然見つかることもありますが、気になる症状があれば、一度は検査を受けることをおすすめします。

(文/中寺暁子)