JR東は利潤ばかりを追求
そんな状況のなか、昨年末に公表されたJR東のダイヤ改正案は、一宮町を含む千葉県の複数の自治体にとって、まさに寝耳に水だった。京葉線の混雑緩和を理由に、朝と夕方以降の通勤快速、快速を廃止するというもので、都心へのアクセスが改悪されるためだ。
一宮町などは連名でJR千葉支社長に抗議文を提出。千葉市などからも反発を受けたJR側は今月、午前6時過ぎの上総一ノ宮駅発の列車について、京葉線内は快速にするなどの新たな案を打ち出した。公表後のダイヤ修正は、極めて異例である。
だが、「町にとっての生命維持装置を外すに等しい暴挙です。修正案では不十分で、あくまで原状の回復を求めたいと考えています」
と強い言葉で訴えるのは馬淵昌也町長(66)だ。歴史学者で、学習院大学の教授だった馬淵町長も、自然豊かな町の魅力にひかれ20年前に神奈川県から移住してきた。
馬淵町長が疑問視するのは、JR東が事前に沿線自治体や関係者と対話をせず、決定事項として公表した点だ。
馬淵町長は「あくまで私見」と前置きしつつ、JRの姿勢をこう批判する。
「国鉄時代は、利用者ではなく『お上』である国の意向をうかがう鉄道だったのでしょう。その体質が維持されたまま民営化され、今度は営利企業として利潤ばかりを追求するようになった。利益追求という大義のもとに、『われわれがすべてを決めてから、自治体や利用者に知らせればいい』という文化が根付いてしまっているのではないでしょうか。行政も昔は同じように一方的な姿勢だったのかもしれませんが、今は町民らと対話をし『共創』していく意識がとても大切です。上意下達のようなやり方は、明らかに時代遅れだと思います」