「春日権現験記絵」に描かれた大工の仕事の様子。ノミを木目に入れて木を割る者や、木屑を運ぶ子どもたちの姿が描かれる(東京国立博物館蔵 ColBase)

 仕事にあぶれた下級官人は、上級貴族に仕えるようになった。もともと貴族の従僕(じゅうぼく)は庶民が担っていたが、庶民では難しい仕事を行うことで、食い扶持を稼いだのだ。やがて上級貴族のそばで仕事をこなす彼らは、侍(はべ)るという意味から「侍(さむらい)」と呼ばれるようになった。

 そして、この侍たちの中から武士が誕生し、朝廷や院の護衛をこなすようになる。のちに活躍する源氏、平氏なども、下級官人だった。平安時代が末期に近づくと、この侍たちが上級貴族を押しのけて武家社会をつくり上げていく。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂 永井優希)

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