仕事にあぶれた下級官人は、上級貴族に仕えるようになった。もともと貴族の従僕(じゅうぼく)は庶民が担っていたが、庶民では難しい仕事を行うことで、食い扶持を稼いだのだ。やがて上級貴族のそばで仕事をこなす彼らは、侍(はべ)るという意味から「侍(さむらい)」と呼ばれるようになった。
そして、この侍たちの中から武士が誕生し、朝廷や院の護衛をこなすようになる。のちに活躍する源氏、平氏なども、下級官人だった。平安時代が末期に近づくと、この侍たちが上級貴族を押しのけて武家社会をつくり上げていく。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂 永井優希)