IBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)主催アジア柔術選手権2023アダルト黒帯ルースター級準決勝、芝本幸司(右側青道着)vs.チアゴ・ウエノ(左側白道着)。柔術メディアが集まり毎年選出している「ブラジルブログ」主催の2023年ベストマッチに選ばれた(写真:=八木沼志保/JIU-JITSU NAVI)
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 俳優の岡田准一や玉木宏、ガリットチュウ・福島善成などの芸能人が世界大会に出場したことでも、近年注目を集めるブラジリアン柔術。その特徴や人気の秘密を紹介する。AERA2024年1月22日号より。

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 ブラジリアン柔術は習熟度や期間、大会実績により白・青・紫・茶・黒の5段階の帯が定められている。ワールドマスターは青帯以上が出場でき、年齢はおよそ5歳刻みで7段階、体重は6キロ前後刻みで10階級に分かれている。つまり男子全体では最大280のカテゴリーが存在し、それぞれの世界王者が誕生する。

「ワールドマスター柔術選手権2023」でガリットチュウ・福島善成が優勝したのは「マスター4(46〜50歳)青帯ライト級(76キロ未満)」。1回戦シードから4勝を挙げて頂点に上り詰めた。岡田准一は「マスター3茶帯ライトフェザー級」、玉木宏は「マスター3青帯フェザー級」で出場、ともに1回戦を勝利し、2回戦で敗れている。この結果は多くの関係者から「1勝したのはすごい」と評価された。

 岡田が格闘技に熱心だという話は、格闘技関係者・ファンの間では以前から評判になっていた。ブルース・リーが創始した「ジークンドー」のインストラクター資格も持ち、ブラジリアン柔術にも真摯に取り組んでいた。2021年からMCを務めたNHKの番組「明鏡止水〜武のKAMIWAZA」では、様々な武術について語るのみならず、自ら実演にも対応。その知識と腕前は多くの人を驚かせた。

 彼が格闘技の技術を生かしたアクションを披露する作品はいくつかあるが、その好例が2021年に主演した「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」だ。岡田演じる殺し屋「ファブル」が団地の一室で敵の追っ手と格闘する場面があるのだが、ここで展開される攻防が柔術の動きそのもの。しかも、かなり高度な技を駆使している。それもそのはず、ここで相手をしている追っ手役は、橋本知之という柔術家なのだ。

 橋本は全日本選手権4連覇、世界選手権3位などの実績を持ち、岡田の柔術の師匠に当たる。本作ではよりリアルなアクションを見せたい岡田の提案により、出演が決まったとのことだ。

打撃なくケガ少ない

 岡田は突出した例だが、公表していない人も含め、ブラジリアン柔術を学ぶ芸能人は増えているという。それはなぜなのだろうか? 日本ブラジリアン柔術連盟の中井祐樹会長は言う。

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