トリ・大トリを飾る福山雅治さんとMISIAさんのふたりには、言うまでもなく様々な味わいを期待しつつ、それが私たちふたりの琴線にどう触れるのか、もしくは触れないのか、はたまた逆撫でするのかなんて話を延々としているところで、いよいよ空腹もマックスに達し、ちょうどそんなタイミングで、マツコさんのガラケーの充電が切れて、その日はお開きとなりました。

 ふたりとも家に食料の備蓄がないため、空腹のまま強引に寝るか、出前サービスが稼働するまで起き続けているか、電話を切った後が悩ましいのも例年通り。

 大晦日は夕方に起きて、前日マツコさんから「そろそろ藤井風と向き合え!」と言われたこともあり、リリースされているCD全タイトルをネット注文。絶対に好きになる要素が満点なのは分かっているのですが、あまりにも彼のルックスが好き過ぎて、「好き」を解禁してしまうと、自分の熱量がどのように加速するかが想像できず、正直「見て見ぬふり」をしてきた藤井風さん。私は女性ではないので、この歳になってビジュアル先行で音楽沼に足を踏み入れるなど、相当な勇気と覚悟が要るので。
 

 そして、何年振りかに家で独り、リアルタイムで「紅白歌合戦」をしっかりと視聴しました。

 司会の有吉弘行さんが、終始スタンスの落としどころに迷いながらも、紅白独特の空気に凌駕されないように踏ん張っている姿は、いかにも有吉さん天性の照れと計算と拗らせと、そしてそれに有り余るほどの、彼の「自意識」がフルに発動された賜物だったと思いました。終始かわいかった。かわいい有吉さんを、久しぶりに観た気がします。

 芸能という仕事は、どこかで腹を決めることで、その対価や値打ちが上がっていくものですが、有吉弘行という男は、どんなに人気と需要が高まっても「尊大にならない」「張り切り過ぎない」「良い子になり過ぎない」「喜怒哀楽は自分で決める」という、人間としての繊細さを尊重してきたからこそ、これほどまでに世間からの共感を得ているのだと思います。

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