21年4月に日本人でフリージャーナリストの北角裕樹さんが逮捕され、1カ月ほど拘束されたのち、解放された。久保田さんが言う。

「もしかしたら僕も1カ月ほどで解放されるかもしれないと思ってました。ところが日に日に時間が過ぎていき、約3カ月が経過した10月に禁錮10年の判決がおりました。刑務所内で見かけた紐で首をつる姿も想像しました。『もうここでしばらくは過ごすんだな』。そう覚悟を決めた瞬間でした」

「解放だ」

 そこから約5週間後の11月17日。拘束から111日目で突然、解放されることになった。

「複数の看守が来て、『解放だ』とビルマ語で言われました。周りの囚人たちが、英語で訳してくれました。突然の知らせだったので、その状況が信じられなかったです」

 帰国して1年が経過した。

 久保田さんはいま、タイに滞在している。その理由を出国前にこう語ってくれた。

「捕まってから会えていないミャンマーの友人たちが、タイの国境付近にいます。だから会ってきます。そこでミャンマー人の映像作家らに撮影機材を貸し出すこともできればと考えています」

 隣国のタイには、ミャンマーでクーデターが起きてからこれまで4万5千人以上が避難したという。久保田さんの映像作家などの友人も避難をしている。

 久保田さんは北角さんなどと一緒に、ミャンマーの民主化の後押しをするため、ミャンマーの映像作家やジャーナリストへの支援に取り組んでいる。

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自分にしか撮れないことを意識している