津波で多くの家屋が倒壊した石川県能登町の白丸地区。冷たい雨の中、自宅に残っている荷物を探しに来た人の姿が見られた=1月3日、石川県能登町
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 元日に発生した能登半島地震は、最大震度7という激しい揺れのほかに、津波による被害も徐々に明らかになりつつある。震源が沿岸から近かったため、津波の「第1波」は地震の発生から数分後、場所によっては気象庁の津波警報・注意報よりも先に到達したと見られている。そんな津波のリスクに対し、我々はどう備えればいいのか。

【写真】地震直後の輪島市内の様子はこちら(計12枚)

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 今回の地震では、震度7の激しい揺れに加え、能登半島の各地を津波が襲った。

 国土交通省によると、震源に近かった石川県珠洲市、能登町、志賀町では、津波で浸水した面積が少なくとも計120ヘクタールになった。また、京都大防災研究所などの調査によると、志賀町の赤崎・鹿頭地区では5.1メートルの高さまで津波が押し寄せていたという(1月8日時点)。

 しかし、津波で被害を受けた住宅の数や各地での浸水の深さなど、被害の全容はまだわかっていない。
 

 今回の地震発生は、1月1日16時10分ごろ。気象庁は16時12分に津波警報を出したが、すでに石川県能登、富山県、新潟県上中下越、佐渡の各地域には高さ最大3メートルの津波が到達しているという発表だった。

 気象庁地震津波監視課の担当者は、

「必ずしも津波が到達する前に警報が出るわけではありません」

 と説明する。

 では実際の津波の「第1波」はいつ、沿岸部に到達したのか。

 気象庁の観測によると、輪島港(石川県能登)に第1波が到達した時刻は16時10分、富山では16時13分だった。

 津波警報が出される前、もしくはほぼ同時に津波が来ていたことになる。
 

これ以上早く出すのは難しい

 津波警報は、どのようにして出されるのか。

 気象庁によると、地震が起きると観測データから震源の位置や深さを判断し、地震の規模(マグニチュード、M)を決める。それらのデータと津波を予想したシミュレーションのデータベースとを組み合わせて、各地域の津波の高さや到達時間を推定するという。
 

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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東日本大震災では、津波到達まで時間があった