近い将来の発生が懸念されている南海トラフ大地震について、国の中央防災会議ワーキンググループが2012年にまとめた「津波到達時間一覧表」によると、地震発生後、静岡県には1メートルの津波が2分で、和歌山県には3分、三重県では4分で到達する。

 もう少し具体的な地域で見ると、焼津市(静岡県)では2分で1メートル、4分後には5メートルの津波が、串本町(和歌山県)では3分で1メートル、5分で5メートルの津波が来ると予想されている。

 津波被害が想定されている沿岸自治体では、住民の避難訓練のほか、津波タワーの設置や住宅の高台移転なども進められている。
 

揺れが収まったら海からすぐ離れる

 もし、たまたま海の上や海岸にいるときに大きな地震に遭遇したら、どんな行動をするべきか。気象庁の担当者は、こう語る。

「津波で海中に引きずり込まれる恐れがあるため、すぐに陸に上がる。そして、沿岸から速やかに高台へ避難することが必要です」

 今村教授も、

「揺れが収まったら、すぐに沿岸部から離れることが不可欠です」

 と強調する。

 沿岸で生活する住民のためには、短時間で安全な場所まで避難することが難しい地域であれば、避難タワーや避難ビルを確保しておく必要がある。

「賛否はありますが、防潮堤や防波堤も津波の到達を遅らせる効果があります。どうやって防災するのか、地域での議論が必要です」(今村教授)

 いつ発生するかわからない地震、突然襲ってくる津波に、どう備えるか。だれしも「他人事」ではすまされない。

(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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