祇園・初音小路から少し入ったところにある「ZEN CAFE」。老舗という言葉からは想像しにくいモダンな佇まいに、期待感が高まる

 青がテーマカラーだったり、アート性にあふれる空間だったり。おしゃれでSNS映えするイマドキなカフェ!と思いきや、手掛けているのは江戸期や大正期から続く和菓子の名店、ということが増えている。

 茶道の歴史を支えた京菓子は、京都の四季を色や形で表すなど芸術性にも優れる。その豊かな感性や表現力が老舗和菓子店に受け継がれ、アートや文化と融合したカフェの出店につながっているようだ。

 創業当時からの名物だけでなく、その場で作るわらびやあんこドリンクなど、新感覚のカフェ限定スイーツに出合える「老舗和菓子店プロデュースの進化系喫茶」。いま、京都に行くなら行かない手はない。

 2023年11月の刊行で10周年を迎えたムック「京都カフェ」の2024年版から、行くべき4店を紹介したい。

笹屋昌園CAFE&ATELIER

【笹屋昌園CAFE&ATELIER】抹茶わらび餅(1580円)と抹茶レモンソーダ(480 円)。抹茶わらび餅には、餡、きな粉、黒蜜のトッピングがつく

 2023年7月にオープンした、 大正7 (1918)年創業の老舗和菓子店「笹屋昌園」が展開するカフェ。笹屋昌園は、高品質な材料にこだわった菓子が人気を集める名店だ。

「笹屋昌園CAFE&ATELIER」では、出来たての本わらび餅やパフェが堪能できる。カフェ限定の「抹茶わらび餅」には、宇治田原産の最高級抹茶「貴長(きちょう)」を使用。注文が入ってからたてる本格抹茶と爽やかなレモンソーダを合わせた「抹茶レモンソーダ」もぜひ試してみて。

SUETOMI AoQ CAFE STAND

【SUETOMI AoQ CAFE STAND】生ハムとチーズのあんカスクート(702 円)は一見驚きの組み合わせだ。あんカフェオレはホットもアイスも594 円

「末富」は、明治26(1893)年創業。「末富ブルー」の包装紙で知られ、寺院や茶道の家元も御用達の名店が、2023年5月にテイクアウト専門のカフェをオープンした。自慢のあんこを使ったドリンクやサンドイッチなど、斬新なラインナップがそろう。

のどごしのよいこしあんとコーヒーの相性が抜群の「あんカフェオレ」はホットでもアイスでも。塩気と甘みがたまらない逸品「生ハムとチーズのあんカスクート」もおすすめだ。

次のページ
220年の歴史が生んだ新感覚スイーツ