デンマーク女王のマルグレーテ2世
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 デンマークの女王マルグレーテ2世(83)は、昨年12月31日にテレビを通じて恒例のライブ演説を行った。穏やかな笑顔のまま原稿を読み上げる。その中で、即位してちょうど52年となる2024年1月14日に退位して、長男フレデリック皇太子(55)に譲位するという驚くべき発表をした。

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 突然の退位表明に国民はショックを受けた。女王はかつて「生前退位はしません。よほどの重病にならない限り」と繰り返し発言していたからだ。

 22年9月、エリザベス女王の国葬にはイギリスまで飛んで参列し、8親等の遠戚にあたる女王の棺を前に目を赤くする姿が見られた。また、23年2月に受けた背中の手術は成功したと言われていたのだ。

女王はヘビースモーカー

 女王の人気は高い。

 デンマーク王室の支持率は女王が1972年に即位した当時は43%ほどだったのが、現在は75%を超す。それには女王の明るくて率直、おおらかで気さくな人柄も影響した。王室は53年の法改正で女子の王位継承が可能になり、フレデリック国王の長女だった彼女が31歳で即位した。ケンブリッジ大学で考古学を学び、5カ国語を話し、舞台衣装をデザインするなど芸術的才能にも恵まれていた。また、1日60本を吸うヘビースモーカ-だった。

 2018年に亡くなった夫との間に、フレデリック皇太子と次男ヨアキム王子(54)がいる。22年、女王のある発表に驚きが広がった。国民の税負担増を回避するため王室のスリム化を目指し、ヨアキム王子の4人の子どもの称号を剥奪するというのだ。

 これを受けて、ヨアキム王子は激怒。強く抗議したが、女王は動揺を与えたと謝罪したものの、「孫たちは制限のない自由な世界で存分に能力を伸ばして」と決定を覆さなかった。国民からの支持が、女王のこの決定を後押しした形だ。

 女王のこの度の退位は、年齢と健康問題がきっかけと説明された。だが、理由は別にあるという見方がされている。

 それはフレデリック皇太子の浮気報道である。

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