全摘後の尿路変向の方法は大きく分けて二つ
尿路変向の手術には、大きく分けて二つの方法があります。
一つは、腸の一部を使っておなかに尿の出口を造る方法(人工膀胱:ストーマ)、もう一つは同様に腸の一部を使い、おなかの中に膀胱の代わりの袋を造る方法(新膀胱)です。
ストーマを造った場合、おなかに開けた出口から尿が出てくるので、パウチという袋を装着し、2~3時間に一度程度、たまった尿を捨てます。
一方で新膀胱は、おなかにストーマができないのでボディーイメージは良いですが、おなかの中に袋はあっても尿意も感じず筋肉も収縮しないので、自然に排尿することができません。そのため定期的にトイレに行き、おなかに力を入れて、腹圧でたまった尿を排出する必要があります。
「ストーマの管理やケアは、患者さん自身や介護をする家族も、しばらくすれば慣れて支障なくできるようになりますが、新膀胱は管理が少し難しい面があります。定期的な排尿作業がルーズになったり、認知症で管理ができなくなったりすると、からだの中に尿が溜まった状態になってしまい、腎臓に負担がかかって腎機能が悪くなったり、慢性の尿路感染症などを起こす恐れもあります。ストーマにするか新膀胱にするかは、患者さんの生活背景や将来的なことも考え、慎重に判断することがとても重要です」(金丸医師)
治療のあとも定期的に検査を
膀胱がんの場合、再発する恐れが比較的高いので治療後も定期的に受診し、尿検査や内視鏡検査を受けることが大切です。
「例えば、がんが一つだけで3㎝以下、悪性度も低い、といった場合にはTUR-BTで削るだけで治る可能性もあるのですが、少し悪性度が高いと2年以内に再発してくることが多く、また1年以内に再発する人の場合、再発を繰り返すこともあります。ですので、治療後も医師の指示に従って受診し、検査を受けていただくことが何よりの再発予防になります」(同)
膀胱がんの7割程度が、初期で見つかるといいます。1年に一度程度は健康診断を受けて尿検査をしておくことが、有効な予防方法の一つと言えるでしょう。
(文/梶 葉子)