各球団が戦力を整えていくなかで、来季の戦いに不安が残るのが楽天だ。最多セーブ投手に3度輝くなど通算236セーブをマークした絶対的守護神・松井裕樹が今オフにパドレスへ移籍。今江敏晃新監督は先発の柱として稼働してきた則本昂大を抑えに回す驚きの配置転換を決断した。
楽天を取材するスポーツ紙記者は、複雑な表情を浮かべる。
「則本は三振奪取能力が高く、精神的にもタフなので抑えの適性があるかもしれないが、先発陣の層が薄い。抑えの候補は新人でセットアッパーとして大活躍した渡辺翔太、酒居知史らがいたので驚きました。懸念されるのが、則本が守護神として機能しなかった時です。先発の大黒柱もいなくなるので、他の投手が抑えで機能しなかった時よりダメージが大きい。今から失敗を想定しても仕方ないかもしれませんが、それほどリスクの高い決断と言えます」
伸び悩む若手投手
楽天の大きな課題は若手投手たちの伸び悩みだろう。39歳右腕・岸孝之が今季9勝でチームトップという現実が寂しい。則本は8勝8敗でチーム最多の155回を投げて防御率2.61。2ケタ勝利を挙げても不思議でない投球内容だった。2022年ドラフト1位右腕・荘司康誠も109回2/3を投げて5勝3敗、防御率3.36と及第点をつけられるが、他の投手たちが物足りない。日本球界復帰3年目の田中将大は7勝11敗、防御率4.91で規定投球回数に届かず、3年連続シーズン負け越した。20年ドラフト1位左腕・早川隆久は6勝7敗、防御率3.44。好不調の波が激しく、96回2/3はプロ3年目で自己最少の投球回数だった。16年ドラフト1位右腕・藤平尚真も2勝4敗、防御率4.44と殻を破り切れない。先発で期待されながら1軍定着できず、プロ同期の山本、今井達也(西武)に大きく差をつけられている。21年に10勝をマークした瀧中瞭太も2勝止まりだった。日本ハムでプレーしていたコディ・ポンセ投手の獲得を発表したが、先発陣の層は依然として薄い。