そして今回、また読み直し、作者についても調べた。

「サン=テグジュペリさんはお堅い人だと思っていたけど、ピュアで恋多き人でした。飛行家だから自由に羽ばたくのが好きなんだろうなと。星の王子さまと重なって愛おしい気持ちがわいてきました」

 中条さんは本好きとしても知られている。仕事で大阪から東京に通っていた10代のころ、ホテルのある神保町の古書店をのぞくようになった。

「古本で買うときは、トルストイの『戦争と平和』のような有名な作品を、あえて昔の人の翻訳で読んでいます。女の人の会話が『何々ですわ』という古風な表現になっていたりして、こういう時代があったんだなって想像するのが楽しいんです」

 中条さん自身は会話では英語も使うが、読書は日本語。今回の名言集の翻訳では知らない単語もあり、どんな日本語にするか、言葉選びに時間をかけた。

「いろんな年代の方が読んだときに、素直にスッと入ってくる、心地よい言葉を選べたらいいなと思いました」

 冒頭の名言の「自分の星」とは、パーソナリティー、国、故郷、仲間など、いろいろな意味にとれると話す。

「それぞれが持っている星はみんな違うけど、本人にとってすごく大事なものだから、周りの人も大切にしてほしいなって思うんです」

 王子さまの言葉が輝きを取り戻す名言集だ。

(ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2024年1月1-8日合併号

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