本棚を見ればその人の人柄や考え方が見えてくる。プロインタビュアー・吉田豪さんの書棚を見せていただいた。AERA 2024年1月1-8日合併号より。
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東京・新宿2丁目にある事務所の一角にタレント本棚のスペースを作った。五十音順に並べ不定期にバイトを雇い整理しているが、とても追いつかないほどの数だ。
「献本なんかないです。全部自分で買うので、だから、いろいろ言える」(吉田さん)
今も大絶賛する伝説の本が、俳優・長門裕之の芸能界暴露本『洋子へ』。ずっと後になって吉田さんが長門氏本人に聞いたところによれば「酔っ払って話した内容をそのまま原稿にされた」この本をめぐって、芸能界が大騒ぎに。長門氏が謝罪会見を開く事態となったのは有名な話だ。
「その後、改訂版も出ていますが、そっちもひどい。某有名女性議員と情を通じた話を事細かに書いた箇所を、改訂版では『夢だった』ってオチ(笑)。取ってつけたような最低限の修正で済ませている」(吉田さん)
後日の吉田さんの取材に対しても、長門氏は反省ゼロの様子だったそうだ。
「ただ、奥さん(俳優・南田洋子さん)のことは大好き。嫉妬してほしくて書いたのがこの本。楽しそうに奥さんの介護をしながら、浮気話を語っていました。夫婦愛の人ではあるんです」(吉田さん)
イタリアの女優、チッチョリーナの『チッチョリーナのConfessions(告白)』は、SNSで高松市の宮脇書店で何冊も平積みされているのを知るや、日帰りで飛んで行って買い求めた。
「10冊買ってきました。思い出の本。日本で一番この本を多く所有していると思います。内容は普通」(吉田さん)
版元の三協映画は、往年の梶原一騎の格闘技ものの映画を多数制作した。
「梶原亡き後、なぜかチッチョリーナ来日活動に明け暮れ、こんな誰も知らない本まで出した。迷走している」(吉田さん)
『暴力青春』は、キャロルの4人の生い立ちに迫った本。