発症2日目のAさんの足。腫れと痛みがひどく、まともに歩けなくなった

溶連菌は「人食いバクテリア」という別名も

 全国的に溶連菌の感染者が急増している今、Aさんは不安を感じているという。

「もし自分が感染したら、またIgA血管炎のスイッチが入ってしまうのではないかと。怖いなと思いながら、ニュースを見ています」

 Aさんの体内で厄介な病の引き金を引いた可能性のある溶連菌だが、一体どのような菌なのか。

 大阪公立大学大学院医学研究科の金子幸弘教授(細菌学)によると、溶連菌に感染するのは、「小学校低学年くらいまでの子どもが多い」という。

「理由としては、小さな子どもは免疫がまだ十分に備わっておらず、何でもなめたり口に入れたりと菌と接触する機会も多いからだと思います。大人がかかる場合は、子どもから菌をもらってしまった親や学校の先生が多い印象です」

 主な症状は、のどの痛みや赤み・腫れ、発熱、舌全体が赤くなって表面の舌乳頭(ぜつにゅうとう)がブツブツと腫れる“イチゴ舌”など。のどの炎症という点では風邪の初期症状と似ているが、せきや鼻水が出ることは少なく、病院に行けば迅速抗原検査によって判別できる。

 私たちの周囲に当たり前に存在している溶連菌だが、実は「人食いバクテリア」という恐ろしい通り名を持つ菌でもある。

 2017年6月、当時埼玉西武ライオンズの投手コーチだった森慎二さんが、体調不良を訴えた3日後に亡くなった。親族によると、死因は溶連菌感染による敗血症。手足の激しい痛みや壊死(えし)、多臓器不全などを招く「劇症型溶連菌感染症」だったとみられている。

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溶連菌への集団免疫が低下している