『小学生が描いた~』は、1969年から1970年にかけて北海道から沖縄まで120カ所もの小学校を自転車(!!)で巡って500点の児童画を収集し、都内で展示した青年の実話。絵は現在、インターネットで公開され、描いた本人に返却され始めているという。
短歌ブームの火付け役
『CAFE´ モンタン』は岩手県盛岡市で1960年代から70年代にかけて一世を風靡した、同名の画廊バーの初代マスター・小瀬川了平氏と芸術家たちの交友、足跡を描いた佳作だ。
資源経済学と鉱床学が専門の志賀美英・鹿児島大名誉教授の労作『鹿児島 錫山鉱山~』。同山は1655年に発見されて以来、旧薩摩藩の財政を支えた。そして1988年に閉山するまでの約330年間、国内屈指の錫鉱山として名を馳せた。歴史をたどり、遺構、遺跡を丹念にまとめた。
2022年1~6月に山梨日日新聞で連載して話題となった同名シリーズを単行本化したのが『Fujiと沖縄』(編・発行/山梨日日新聞社)。地元紙ならではの地道な取材が生んだ佳作で、連載は第22回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(公共奉仕部門)はじめ数々の社会派文学賞を受賞している。
異彩を放つのは九州・福岡市の出版社「書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)」。優れた短歌集や文学ムックで知られ、年齢・性別を問わない現在の短歌ブームの火付け役とも言われている。(ライター・高鍬真之)
年末年始に読みたいご当地本
【北海道】
『ヒグマは見ている』/内山岳志/北海道新聞社/2023年
【東北】
青森
『青函連絡船の人びと』/本橋成一・佐藤滋/津軽書房/2016年
岩手
『BIG FLY 大谷翔平プレイバック2023』/岩手日報社/2023年
『CAFE モンタン』/萬鉄五郎記念美術館・平澤広・五十嵐佳乙子・高橋峻/杜陵高速印刷出版部/2022年【第36回地方出版文化功労賞奨励賞】
秋田
『WHO医師のアジア放浪記』/遠田耕平/無明舎出版/2023年
宮城
『あいたくてききたくて旅にでる』/小野和子/PUMPQUAKES/2019年
山形
『森に暮らす』/黒田三佳/山形会議パブリッシング/2022年
福島
『祈りの碑』/長島雄一/歴史春秋出版/2020年
【関東】
茨城
『いばらぎじゃなくていばらき』/青木智也/茨城新聞社/2004年
栃木
『田中正造と足尾鉱毒事件を歩く 改訂』/布川了・堀内洋助/随想舎/2009年
群馬
『連赤に問う』/上毛新聞社/2022年
埼玉
『旧鎌倉街道探索の旅〈1〉上道・山ノ道編』/芳賀善次郎/さきたま出版会/2017年
千葉
『ホントのコイズミさん YOUTH』/小泉今日子/303BOOKS/2022年