「どうせ60代で死ぬんで」
Uさんは自分の今後をどのように考えているのだろう。
「将来のことはメチャメチャ不安です。今は一人なので生きてはいけますが、貯金はしない主義なので全然ありません」
老後はどうするのかと聞いたら、「65歳までに死ぬ予定なんで」との回答。
Uさんのように貯金もなく、年金も払っていないという氷河期世代の独身男性に今後のことを聞くと、「どうせ60代で死ぬ」と発言する人にしばしば出会う。独身男性の寿命が平均値・中央値いずれも60代であることが影響しているのだろうか。
そして、彼らが共通して語るのは「人間関係が苦手」だ。就職が思う通りにいかず、ストレスフルな職場に翻弄され、人間関係が苦手、家族もいないという要素が重なると、「どうせ死ぬ」という考えになるのかもしれない。
Uさんがメンズエステという特殊な仕事に手を出したのは、「それでもどこかに自分の爪痕を残したい」という叫びなのだろうか。
余談だが、90歳になる筆者の父はつい最近までそこそこ元気だったのに、徐々にトイレに行くのが不自由になり、ウ〇チを漏らしまくり、「もう死にたい」「オレを殺せ」と毎日のようにわめいている。
慌てなくても人生100年時代は、まだまだ死にたくなるチャンスが何度かあるらしい。自分の足でトイレに行けるうちはラッキーと思って生きるしかない。
「とりあえず、メンズエステの副業は辞めます。今の本業でもう少し収入が増えればいいのですが。貯金も少しはしないといけないですね」
Uさんから少しだけ前向きな発言が出た。とりあえず、ヤケを起こさずに生きていこうではないか。