国の副業推進以降、コロナ禍もあり、副業OKとする企業も増えている。近年は年功序列を廃した成果主義の導入で、副業で収入を補わなければならない中高年も出始めている。キャリアを活かしたい、モニターやアンケートでとりあえずポイ活、クリエイティブ系、肉体労働など、おじさんたちは迷路のような「副業の森」をさまよっている。育児のかたわらギグワーカーとしていろんな仕事を体験しているジャーナリストの若月澪子氏は、いわゆるホワイトカラーとして働いてきたおじさんたちの副業体験を取材した。その中でも夜の世界に飛び込んだおじさんが見たものは。『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』(朝日新聞出版)から一部を抜粋、再編集して紹介する。(年齢などは取材当時のものです)
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夜の世界にも「リモート対応」の仕事が広がっている。雇用主に一度も会わないまま、ZoomやLINEで指示を受けて仕事をする。いや、日の当たらない仕事ほどDX化は早いのかもしれない。
「仕事はLINEで指示があります。オーナーにはビデオ通話でしか会ったことがありません。カタギの人だとは思いますが、かなりグレーな仕事なので、正直よくわかりません」
何やら怪しい仕事について語るUさん(46)は、四国の県庁所在地に暮らす中年男性だ。Uさんは普段、地元で雑貨店を経営している知人の下で事務を担当している。そのUさんが1年ほど前から始めた「グレーな仕事」とは、マンション型メンズエステなるものだという。