根本から「荒れない唇」に!基本のケア

 しっかり保湿をしても改善しないときは、体の中からケアを。唇の乾燥につながる不調を整え、根本から「荒れない唇」をめざしましょう。

【基本のケア】

(1)「脾胃」を元気に保つ
胃腸を整えてしっかり栄養を取り、唇に栄養と潤いを与える「血」を養いましょう。暴飲暴食、冷たい飲食、辛いものや油っこい料理の取り過ぎなどは、胃腸の負担になるので気をつけて。

(2)「腎」の働きを健やかに保つ
腎は冷えに弱いため、冬は働きが落ちやすい時期。特に腰回り(腎の近く)をしっかり温めて体を冷やさないように。過度な疲労も腎を消耗させるので、休息を十分取ることも大切です。

(3)食事のポイント
・体の水分を奪うもの(せんべい類、ビスケット、炒ったナッツ、乾き物など)は控えめに。
・刺激物や油っこい料理は、体内に余分な熱を生み乾燥を招くので気をつけて。

体質別・ふっくらうるツヤ食養生

 タイプに合わせた対策を心がけ、「ふっくらうるツヤリップ」を目指しましょう。

(1)血が足りない「血虚(けっきょ)」タイプ

 唇に栄養や潤いを与える「血」が不足しているタイプ。バランスよく栄養を取り、血をしっかり養いましょう。過度なダイエットはNGです。

・気になる症状
唇の血色が悪い、乾燥肌、疲労感、不眠、めまい、月経量が少なく色が淡い

・おすすめ食材、生薬
赤みのある肉・魚などのタンパク質、レバー、かつお、ほうれん草、りんご、なつめ、クコの実、プルーンなど

(2)潤い不足の「陰虚(いんきょ)」タイプ

 津液(潤い)が不足して、体が乾燥しているタイプ。30代後半くらいから自然と潤いが不足しがちになるので、積極的にケアを。

・気になる症状
乾燥肌、のぼせ、ほてり、便秘がち、のどの渇き、ドライアイ

・おすすめ食材、生薬
長芋、白きくらげ、ぶどう、梨、すっぽん、手羽先、豚足、魚(刺身やお寿司など)、哈士蟆油※(はしまゆ)など
※哈士蟆油(はしまゆ)は、カエルの輸卵管を生薬としたもの。

潤いを補う食材、白きくらげ PhotoAC

(3)血流が悪い「お血(おけつ)」タイプ

 血流が滞り、唇に十分な栄養や潤いが行き届かないタイプ。冷えは血行を悪化させるため、入浴や温かい食事で体をしっかり温めて。適度な運動も血行を促すポイントです。

・気になる症状
唇が黒っぽい、色素沈着しやすい、くま、頭痛、生理痛、しこり

・おすすめ食材、生薬
青魚、サフラン、玉ねぎ、桃、ローズティー、沙棘油(サージオイル)など

(4)乾燥が強い「熱毒(ねつどく)」タイプ

 亀裂や炎症が起こる口唇炎、ガサガサ皮剥けを繰り返す剥奪性口唇炎など、強い乾燥症状が起こりやすいタイプ。体に溜まった過剰な熱を下げることが養生の基本です。

・気になる症状
保湿しても乾燥が続きヒリヒリ痛む、唇の皮が剥ける、唇が赤い、口の渇き、のどの痛み、胃痛、にきび、口内炎

・おすすめ食材、生薬
れんこん、小松菜、大根、白菜、セロリ、緑豆、鶏肉、豚肉、緑茶、菊花、ミント、五行草など

監修:楊 暁波 先生(中医学講師)

監修:楊 暁波 先生(中医学講師) 不妊カウンセラー。毛髪診断士。世界中医薬学会連合会皮膚科専門委員会理事。 1984年、雲南中医薬大学医学部卒業。94年、埼玉医科大学客員研究員として来日、96年、日本遺伝子研究所に勤務。99年より日本中医薬研究会専任講師。 共著に『やさしい中医学シリーズ3 誰も書かなかったアトピー性皮膚炎の正体と根治法』『やさしい中医学シリーズ4 あなただけの美肌専科』(ともに文芸社)、『[簡明]皮膚疾患の中医治療』(東洋学術出版社)など。

本記事は、イスクラ産業株式会社監修の中医学情報サイト「COCOKARA中医学」より、一部改変して転載しました

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