上限超えて児童を担当
東京都のある区で、小学校4校の通級指導を担当する40代の男性教員。4校全体での利用児童数は現在91人にのぼる。
「4月時点で本来通級指導には4校で7人の教員が必要なところを、1人未配置の6人で新年度がスタートしました。11月現在、私は上限の12人を超えて20人の児童を担当しています。通級指導の教員数は増えず、年度途中で児童が増えたためです。通級指導で学びたいと希望を出している子はもっといるのですが、教員が新たに配置されないことには、これ以上受け持つのは難しい。年度が後半になるほど利用する児童数が増えてくる。先生が増えなければ、1人の子どもにかけられる時間が減ってしまいます」
通級指導を受ける子が1人増えると、担当教員は、クラス担任、保護者、医療機関、相談機関などとの連携が必要になる。1人児童生徒が増えることによる業務の増加は、通常学級の担任の比ではない。
通級指導は、利用する児童生徒が年度途中で増減したり、一人の教員が数校を巡回しながら担当するなど、学校側でさえ自校の教員不足に気がつきにくい状況があり、教育委員会側も、実態を把握しているとは言い難い。
特別支援教育の現場をめぐって、もう一つ、教員の適性に関する頭の痛い問題がある。東京都の小学校で知的障害の特別支援学級の担任をする50代の女性教員は語る。
「管理職が『通常学級の担任を持たせられない人を特別支援担当に充てる』と本音を漏らすことがあります。通常学級の担任が上で、特別支援担当の教員は下という差別的な考え方は、子ども同士の関係にも影響するのではないでしょうか」
これは「支援学級」に在籍する児童生徒が、ほとんどの時間を通常学級で過ごす形態をとる大阪府ではより顕著だという。児童生徒が通常学級で過ごす際に、支援学級の担任教員が必要に応じて付き添うからだ。
「大阪の場合は特に、支援学級の先生が『補助的な役割』だとみなされることがあります。そのため、職場であぶれてしまった人が、『支援学級の担任なら』と連れてこられるんです」(大阪府の小学校教員)